役に立つ二胡知識 取扱方法
1.日常のメンテナンス 2.取り扱い上の注意点 3.二胡の保管方法 4.二胡の保管場所1.日常のメンテナンス
毎回、練習や演奏の直後に、怠らずに簡単なお手入れをしてあげることで、十分に楽器のメンテナンスができます。 練習や演奏後は、二胡と弓杆に松ヤニや汗、皮脂が楽器に付着していますので、それらを丁寧にゆっくりと拭き上げましょう。もちろん乾拭きで、水拭きはしないようにしてください。 拭き取る布は、楽器クロスでなくてもガーゼのように柔らかくきめの細かいきれいな布でしたら大丈夫です。松ヤニの拭き取り用に1枚、汗と皮脂の拭き取り用に1枚、合計2枚用意するのが理想です。タオルは細かく毛羽立ってしまうので、おすすめできません。また、ティッシュペーパーは破けるので好ましくありません。琴筒と琴杆やデンペンとの隙間に入り込んだ松ヤニは、乾燥した柔らかい歯ブラシを使うと取り除きやすいです。 松ヤニは、演奏直後に拭けば簡単に落とすことができますので、その日のうちにすぐに落としましょう。拭き取りを怠ると、汗や空気中の湿気を含みその後乾燥して固まり、取り除くことが困難になりますので、早めに手入れを済ませましょう。 |
2.取り扱い上の注意点
二胡や弓の取り扱い上の注意点などをご説明します。 琴弓の取り扱いについてですが、二胡の弓毛は、バイオイリン弓のように強く張って演奏するものではありませんから、ケースに収める際に緩める必要ありません。 松ヤニは、弓毛の保護剤ではありません。効率良く弦を振動させるために塗るものですから、練習や演奏する前に塗るようにしてください。 琴筒の上に張り合わせているデンペンは、弓毛により摩耗します。特に、白いセルロイド製のものは、摩耗が激しく琴皮を傷めてしまう場合がありますので、早めに張り替えをしましょう。デンペンの上からテープなどを張って保護する方がおられますが、スムーズなボーイング(運弓)の妨げとなるので、好ましくありません。そもそも交換するためにデンペンは貼ってあるのです。 琴駒は、位置がずれていたり、琴弦が溝から外れていたりしている場合がありますので、練習や演奏前のチューニングの際にチェックしましょう。 名師堂二胡の千斤には、琴弦が通る穴に緩衝用の虫ゴムを入れているのですが、経年劣化と熱や乾燥により破れてしまいます。ビリビリと小さいノイズが発生しますので、半年毎に交換しましょう。 名師堂二胡の琴軸(糸巻き)と琴杆の穴には、双方が合わさる部分にチョークを塗っています。このチョークは、琴軸がスムーズに回りチューニング後は緩まないようにしているものですから、決して拭き取ったりしないでください。 琴杆の琴頭部分は床や壁に軽く当てても折れてしまう恐れがあります。二胡を置くときは、椅子に立てかけたりしないようにしましょう。万が一、琴頭部分を折ってしまったときは、名師堂で修理を承ります。 最後に、極端な例かもしれませんが、二胡をご購入してから数日後に割れが起きたとしても、こういった症状についてはメーカー保障があるわけではございません。決してメーカーが責任放棄しているわけではなく、二胡とはそういった楽器で、保管には十分な注意が必要です。 さて、日本は四季を通じて温度・湿度の変化が激しく、二胡にとっては大変厳しい気候ですので、正しい楽器の管理が重要となります。 |
3.二胡の保管方法
最低限これだけは守ってください! 二胡をケースに収めるときは、二胡用タオルか、又は大きなハンカチやバンダナで琴杆と弦を覆ってから、その上に弓を掛けるようにしましょう。できるだけ弦に弓毛が触れないように気遣うことで、弦や琴軸・千斤に松ヤニを付着させて汚すこともなく、アジャスターに弓毛を絡ませることもありません。 |
4.二胡の保管場所
最低限これだけは守ってください! |
◆長期間の保管
長期間、二胡を演奏しない場合は、弦を少しだけ緩めておきましょう。ただし、緩めすぎると駒やアジャスターが外れて紛失する恐れがありますのでご注意ください。 |
1.日常のメンテナンス 2.取り扱い上の注意点 3.二胡の保管方法 4.二胡の保管場所
曽朴のコメント
二胡も弓も、温度や湿度の影響を大きく受けます。 まず、温度に関しては夏季の炎天下で車中に放置すること、冬季であれば暖房器具の近くでの保管は絶対に避けてください。一年を通して急激な温度・湿度の変化にさらさないように十分に気をつけてください。 湿度は45~60%が理想的です。 楽器を大切に扱うと、楽器も必ず美しい音色であなたに応えてくれます。私はそう信じています。

